先日、法務局から自筆証書遺言の保管制度の案内が届きました。
以前も同様の記事を取り上げたことがあるのですが、正式に案内が来たので改めて紹介します。
自筆証書遺言の保管制度とは?
自筆証書遺言は手軽に作成でき費用もかからない一方で以下の問題点がありました
- 紛失の可能性が高い
- 改ざん又は隠蔽の恐れがある
- 検認が必要で相続手続きの迅速性に欠ける
しかし本制度を利用することで全国の法務局で保管をすることが可能になり、かつ検認が不要になります。
これにより遺言書の紛失、隠蔽の可能性が無くなり、相続手続きがスピーディーにすることが出来ます。
ではこの制度はどのような流れで手続きをするのでしょうか?
確認していきましょう。
自筆証書遺言保管制度の手続の流れ
①遺言書の作成
後述しますが、本制度を利用しても法務局で遺言書の内容については審査はしてくれません。
※形式面での審査はしてくれます。
従って自筆証書遺言の形式に従って自身で遺言書を作成する必要があります。
以下の様式を参考に作成して下さい。
②保管の申請をする遺言保管所を決める
遺言書の作成が出来たら保管する遺言保管所(法務局)を決めます。
保管をすることができる法務局は以下のように定められています。
- 遺言者の住所地
- 遺言者の本籍地
- 遺言者の所有する不動産の所在地
上記のいずれかを管轄する法務局で保管が可能です。
例 浜松市中区に住所がある遺言者→法務局浜松支局で保管申請が可能。
③保管の申請の予約をする
遺言保管場所を決めたら次は保管の申請の予約をします。
こちら法務省所定の申請書があるようですが現段階では様式のダウンロード及び取得をすることができません。
※情報が更新され次第、追記致します。
また予約に関しては以下の3つの方法があります。
予約の方法
- 法務局手続き案内予約サービスのHP(365日24時間対応)
- 電話による予約
- 直接窓口における予約
※2020年4月23日現在は予約開始しておりません。
④保管申請をする
保管の予約日時に以下の書類を持参して下さい。
必要書類について
- 遺言書
- 申請書
- 本籍の記載がある住民票
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
- 手数料3,900円
⑤保管証を受け取る
手続きの終了後に遺言者の氏名、生年月日、遺言保管場所の名所、保管番号が記載されて保管証が交付されます。
ココがポイント
遺言者が死亡後に相続人等が遺言書の原本、遺言証明情報などの閲覧請求が出来ます。
その際に保管番号が分かると便利なので大切に保管して下さい。
公正証書遺言と自筆証書遺言保管制度のどちらを利用すべきか?

公正証書遺言と自筆証書遺言の保管制度のどちらを利用すべきか迷う方もいるかと思います。
そこで自筆証書遺言保管制度のメリットとデメリットを解説します。
自筆証書遺言保管制度のメリットとデメリット
メリット
- 費用が安い
- 手間がかからない
- 法務局で保管してくれるので紛失の恐れなし
- 検認も不要
まず費用面から考えると保管制度が優れています。
公正証書遺言は財産の総額によりますが、数万円程度の手数料が発生します。
また打ち合わせ等も不要なので手軽に作成することが可能です。
デメリット
- 必ず本人が出向かないといけない(公正証書遺言は出張サービスがある)
- 紛争の防止に必ず役立つとは言えない
一方で必ず本人が出向かないといけません。
身体的障害や病気などで外出することが不可能な場合は利用が困難です。
特に重要なのが紛争の防止に必ず役立つと言えない点です。
そもそも遺言者は本人の死亡後に相続トラブルを避ける目的で作成する方が多いので現状です。
公正証書遺言の場合は公証人と証人の立ち合いの元で作成するので、本人の意思に基づいて遺言書の残したことが証明しやすいという点があります。
従って、紛争の防止という観点から考えると公正証書遺言が優れていると考えられます。
どうしても費用面から本制度を利用したい場合は次のやり方はおススメします
専門家に確認してもらうのがおススメ
- 専門家に遺言書の内容を確認してもらう
- その上で本制度を利用する
まとめ
令和2年7月10日から開始される本制度ですが、費用面や手間を考えて利用される方も多いと予想されます。
しかし後日の相続トラブルを避ける為には公正証書遺言をおススメしています。
多少の費用と手間はかかりますが、それでも遺言を残す本来の目的を考えると現状では公正証書遺言が優れていると思われます。
弊所でも公正証書遺言の作成支援を行っておりますので是非お気軽にご相談下さい。